顔つけができなかった男の子が笑顔になるまでのシンプルな工夫

子ども向けスイミングスクールでインストラクターをしていた頃、忘れられない4歳の男の子がいます。

普段は元気いっぱいなのに、水に入ると私の腕をぎゅっとつかみ、全身で「こわい」と訴えていました。

細かい説明は通じにくい年齢だったので、「手をつないでジャンプ」「かにさん歩きでぶくぶく」など、ほとんどを遊び感覚のメニューに変更。
「プール=練習の場」より「プール=楽しいところ」と感じてもらうことを優先していました。

ある日、その子が自分から水をすくって顔を洗い、思いきって顔つけまでやりきった瞬間があります。
すぐにハイタッチをして、お母さんの方を指さしながら3人で笑い合いました。
あのときの誇らしそうな表情は、今でもはっきり思い出せます。

その後はビート板で浮く練習や、「冒険ごっこ」をしながらの潜り練習へステップアップ。
「先生が持ってるから大丈夫だよ」と声をかけ続けるうちに、「先生とならやってみようかな」という信頼が少しずつ育っていきました。

就学前の子どもには、難しい指示より「安心できる雰囲気」と「小さな成功体験」の方がずっと大切だと感じています。
そして、焦らず見守ってくださった保護者の存在も欠かせない支えでした。

この経験から、「子どもは安心できる大人と一緒なら、苦手な水でも前に進める」と今でも思います。
もしあなたの周りにも水をこわがるお子さんがいるなら、まずどんな工夫があれば、その子は少し安心できそうでしょうか。


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